計装図の見方・読み方・記号と信号線から制御ループを読む
📘 この記事でわかること
- 計装図とは何か、他の図面との違い
- よく使う機器記号(TE、HE、dPE、MV、MD ほか)の読み方
- ハッチングや信号線から制御ループを追うコツ
- 新人がつまずきやすいポイント3つ

計装図が読めれば、その現場の空調がどう動いているかが90%わかる
逆に読めないとずっと”言われた配線をやるだけの人”で止まります
こんにちは、電ラビです
計装・自動制御の業界に20年以上いるウサギです
今回は現場に入って最初にぶつかる壁、「計装図(けいそうず)」の読み方を解説します
施工図でも配線図でもない、計装屋ならではの図面です
目次
計装図ってなに?
計装図は、自動制御の”機能”と”システム構成”を、設備の概要といっしょに1枚に書き込んだ図面のことです
似たような図面と混同しやすいので、まず違いを押さえておきましょう
- 施工図:機器の配置・寸法・取付け位置を示す”建築、設備側”の図面
- 配線図:盤内の端子・ケーブル番号を示す”電気工事側”の図面
- 計装図:空調機とセンサとコントローラの”つながり”を示す図面、何をどう制御するかが主役
計装図は、空調機の絵の上にセンサや弁の記号を重ね、さらに制御装置(DDC)との信号線を書き足したもの
現場でいちばん見るのはこの図面です
よく使う機器記号の読み方
記号はメーカーによって少しずつ違いますが、空調分野では以下が標準的です
記号の前半1〜2文字が”種類”、後半が”取付け場所や形式”を示す、と覚えると楽です
検出・調節系の記号
- T、H:室内形の温度調節器、湿度調節器(電気式)
- TE、HE、THE:室内形の温度、湿度、温湿度検出器(電子式・DDC)
- TD、TED:ダクト用の温度調節器、検出器
- DTE:ダクト用の露点温度検出器
- TW、TEW:配管用の温度調節器、検出器
- CO2:二酸化炭素濃度検出器
- PE、dPE:圧力発信器、差圧(静圧)発信器
- dPS:微差圧スイッチ(フィルタ詰まり検知などに使う)
- FM:流量計
操作系の記号
- MV:モータバルブ(電動弁)
- BV:遮断弁
- MD、MDF:ダンパモータ(ダンパ操作器)
- INV:インバータ
- SW:切換スイッチ(盤内取付)
コントローラ関係
- DDC:直接デジタル制御(Direct Digital Controller)、空調機1台に1〜2台付く制御装置
- AUC:空調機用デジタル調節器
- VUC:VAV用デジタル調節器
記号だけではない、”○と●”も意味を持つ
平面図に書かれた記号の頭に付く丸にも意味があります
- ○(白丸):制御用(例:TEなら制御ループに組み込まれたセンサ)
- ●(黒丸):計測専用(例:TEでも監視だけに使うもの)
同じTEでも、”制御して動かすためのTE”と”見て記録するだけのTE”では意味がまったく違う
ここを混同すると、試運転で「このTEは何のためにある?」という事故を起こしてしまいます
ハッチングの有無で”収納場所”がわかる
計装図のシンボルには、斜線(ハッチング)が入っているものと入っていないものがあります
ハッチングのルール
- ハッチング有り:自動制御盤(DDC盤)の中に収納する機器
- ハッチング無し:機械室や居室など、現場に取り付ける機器
これがわかると、”どこに配管・配線を引き込むか”の手配が一気にクリアになります
新人さんには最初に教えたいルールです
信号線の種類も読み分ける
DDCから出る信号線は、用途によって電源電圧が違います
計装図にはだいたい線の脇に記載されています
- AC100V、200V:操作器(バルブ・ダンパモータ)の動力電源
- AC24V:センサ用電源(低圧で安全)
- DC4-20mA、DC0-10V:アナログ入出力信号
- DI、DO:デジタル入力、出力(接点信号)
- 通信線:DDCと中央監視装置をつなぐネットワーク(BACnet、Modbus等)
計装図を”制御ループ”として読む3ステップ
記号と線を覚えたら、最後は”どう制御しているか”を追う練習です
次の3ステップで読むとスムーズに理解できます
STEP1:制御量(ゴール)を探す
まず”何を一定にしたいのか”を探します
室内温度? 給気温度? 差圧?
たいてい居室のTEや、給気ダクトのTEDがゴールです
STEP2:操作端(動かすもの)を探す
次に”何を動かすのか”を探します
冷水MV? 外気MD? ファンINV?
制御量を変えるために動くものが操作端です
STEP3:DDCでつないで”ループ”にする
最後にDDCをはさんで、TE→DDC→MVという”輪”を作ります
これが制御ループ
1枚の計装図に、ループがいくつあるか数えるのが読み方のコツです
新人がつまずくポイント3つ
① TEとTEWを取り違える
室内用のTEとダクト用のTED、配管用のTEW
形も名前も似ているので、”どこに付くか”を記号の末尾で判定するクセをつけましょう
② 平面図と計装図の記号を混同する
同じ現場でも、建築の平面図にある”温度計”記号と計装図の”TE”は意味が違うことがあります
必ず図面の凡例を先に確認
③ 電源線と信号線を混ぜて読む
AC100Vの操作電源とDC4-20mAの信号線を同じ色ペンでなぞってしまう
配線時に絶縁区分を間違える事故につながるので、色を変えて読む習慣をおすすめします
まとめ
- 計装図は”自動制御の機能とシステム構成”を1枚にまとめた図面
- 記号は頭1〜2文字が”種類”、後半が”場所・形式”
- ○は制御用、●は計測用、ハッチング有は盤内、無は現場
- 制御量→操作端→DDCの順で”ループ”として読む

最初は1枚読むのに2時間かかっても大丈夫
10枚も読めば必ず身につきます
