シーケンス制御とは?接点・リレー・自己保持回路をやさしく解説
📘 この記事でわかること
- シーケンス制御とは何か、身近な例
- 接点(メーク、ブレーク)の違い
- リレーと電磁接触器(コンタクタ)の役割
- 自己保持回路のしくみ(自動制御の第一歩)

シーケンス制御は計装のいちばん基礎
ここをおさえておかないとこの先ぜんぶつまずくから、最初の1本をじっくりどうぞ
こんにちは、電ラビです
計装・自動制御の業界に20年以上いるウサギです
この記事では「シーケンス制御」を、初めて聞く人でもイメージできるレベルまで砕いて解説します
ラダー図や接点の話まで出てくる本格的な世界ですが、入口は拍子抜けするくらいシンプルです
目次
シーケンス制御ってそもそも何?
シーケンス制御とは、あらかじめ決めておいた順番や条件どおりに、機械を段階的に動かす制御のことです

いちばん身近な例は全自動洗濯機
スタートボタンを押すと、
- 給水して
- 洗って
- すすいで
- 脱水して
- 止まる
というふうに、決まった順番で自動的に動きますよね
これぞシーケンス制御です
ほかにも、身のまわりにあふれています
- 自動販売機:お金を入れる→ボタンを押す→商品を落とす→おつりを返す
- 自動ドア:人を感知→モータ起動→開く→一定時間待つ→閉じる
- 信号機:青→黄→赤→青…を決まった時間で切り替え
- エレベーター:ボタン受付→ドア閉→移動→停止→ドア開
- コインランドリー:コイン投入→運転開始→規定時間で停止
こうした「手順が決まった自動動作」は、すべてシーケンス制御の仲間と考えてOKです
手動制御とシーケンス制御のちがい
制御は大きく手動制御と自動制御に分けられます

シーケンス制御は自動制御の代表格です
| 種類 | 動かし方 | イメージ |
|---|---|---|
| 手動制御 | 人が手でスイッチを操作 | 旧式の扇風機(弱・中・強を手動で切り替え) |
| シーケンス制御 | 決めた順番で自動で切り替え | タイマ付き扇風機、全自動洗濯機 |
現場で回路を組むのは、たいてい後者
「人間がやっていた手順を、機器に代わりにやらせる」というのがシーケンス制御の本質です
回路の最小単位「接点」
シーケンス回路は、突き詰めれば「接点を開いたり閉じたりする組み合わせ」でできています
接点は回路を電気的に入り切りする部品です
接点には大きく2種類あります
① メーク接点(a接点)
ふだんは開いていて、操作すると閉じるタイプ
“押すと電気が流れる”接点
玄関のチャイムボタンを想像するとわかりやすい
② ブレーク接点(b接点)
ふだんは閉じていて、操作すると開くタイプ
“押すと電気が止まる”接点
冷蔵庫の扉のスイッチ(開けると庫内灯が点くように見えるが、内部的には扉が閉じると接点が押されて灯りが消える仕組み)が近いです
さらに、接点には「自動復帰するもの」と「自動復帰しないもの」があります
- 自動復帰する接点:押している間だけ作動、指を離すと元に戻る(チャイムのボタン)
- 自動復帰しない接点:一度操作すると作動したまま、もう一度押さないと戻らない(シーリングライトのカチッと押すスイッチ)
リレーとは?
接点を人の指ではなく、電気の力で勝手に動かしたい
そこで登場するのがリレー(電磁リレー)です
リレーはざっくり3つの部品でできています
- コイル:電気を流すと電磁石になる部品
- 可動接点:動く側の接点
- 固定接点:動かない側の接点
コイルに電気を流すと電磁石になり、可動接点を引きつけて接点が切り替わる
電気を切ると、バネで元の位置に戻る
これだけです
ポイントは、リレーは「1つの部品」だけど、回路としては2本に分かれているということ
- コイル側の回路(電磁石を作る回路)
- 接点側の回路(切り替わる回路)
この”2回路を1つの部品でつなぐ”という考え方がシーケンスの肝
小さな電圧でコイルを動かし、その電磁力で別の大きな電流を切り替える、というテコの原理のような使い方ができます
コンタクタ(電磁接触器)とは?
リレーの”大電流バージョン”が電磁接触器(コンタクタ)です
モータやヒーターのように消費電力が大きい機器は、小さなリレーでは接点が溶けてしまう
そこで主接点(大電流用)と補助接点(制御用)を一体にしたのがコンタクタ
| 名称 | 用途 |
|---|---|
| 主接点 | モータやヒーターなど大きな電力を入り切り(主回路側) |
| 補助接点 | 表示ランプや次のリレーへの信号(制御回路側) |
ビル空調の制御盤をあけると、ずらっと並んでいる黒い箱がコンタクタ
これがエアコンの室外機や送風機を実際にON/OFFしています
シーケンス制御の花形「自己保持回路」
ここから一気に実用レベル
シーケンス制御の代表的な回路が自己保持回路です
困りごとから出発しよう
送風機を”自動復帰するボタン”(押している間だけ動く)で動かすとしましょう
これだと、作業員はずっとボタンを押しっぱなしにしないといけない
さすがに使えない
かといって”自動復帰しないボタン”にすると、停電が起きて電気が復旧したとたん、勝手に機器が動き出してしまう
これも危ない
この2つの問題を同時に解決するのが、自己保持回路です
自己保持回路のしくみ
基本の考え方はシンプル
- 「入」ボタン(自動復帰するメーク接点)とコンタクタ自身の補助接点を並列に接続する
- コンタクタのコイルと直列に「切」ボタン(ブレーク接点)を入れる
動作を順に追ってみます
- 入ボタンを押す → コイルに電気が流れる
- コンタクタが励磁し、主接点が閉じてモータが回る
- 同時に補助接点も閉じ、”入ボタンと並列”の通電ルートができる
- 入ボタンから指を離しても、補助接点を通ってコイルに電気が流れ続ける
- 切ボタンを押すとコイルへの通電が断たれ、接点が全部戻って停止
自分の接点で自分のコイルを励磁し続ける
だから”自己保持”
停電が起きれば接点はいったん全開放されるので、復電しても勝手には動き出さない
安全ですね

自己保持回路はシーケンスの入り口にして通し券
ここを腹落ちさせれば、現場図面の8割は読めるようになるよ
復帰優先と作動優先
自己保持回路には2種類あります
- 復帰優先(切優先):入ボタンと切ボタンを同時に押したら、停止が優先
- 作動優先(入優先):同じ状況でも動作が続く
安全の観点から、実機の多くは復帰優先が採用されます
万一入ボタンが故障して閉じたままになっても、切ボタンで止められるからです
シーケンス図は”絵の文法”
現場ではJIS記号にしたがって回路を絵で表します
シーケンス図(ラダー図)
- 左右2本の縦線=制御母線(電源の両側)
- その間を横にわたる線=接続線(1本1本が1つの動作)
- 機器ごとに文字記号(M、R、MC、BSなど)を書き添えて区別
はじめは暗号にしか見えませんが、「入ボタンを押す→コイルが励磁→接点が動く→次の回路が通電」を左→右に追っていくだけ
慣れると自転車を読むようにすいすい読めるようになります
よくある質問
Q. シーケンス制御とPLCの違いは?
シーケンス制御は”考え方”、PLCは”その考え方を実装する機械”です
昔はリレーを何十個も並べて組んでいたシーケンス回路を、PLCという小型コンピュータ1台で置き換えたのが現代の姿
中身で動いている理屈は同じです
Q. フィードバック制御とは何が違う?
フィードバック制御は”結果を見て連続的に調整する”タイプ
シーケンス制御は”決めた順番で段階的に切り替える”タイプ
実際の設備では両方が混ざって動いています
Q. 電気工事士の資格で勉強したのと同じ?
電気工事士はおもに配線や施工の知識
シーケンス制御は回路の動作理解がメイン
重なる部分もありますが、別のスキルと考えたほうがいいです
計装士の試験では両方必要になります
まとめ
- シーケンス制御=決められた順番で機械を動かす制御
- 回路の最小単位は接点(メーク、ブレーク、自動復帰する、しない)
- 接点を電気で動かす部品がリレー、大電流用がコンタクタ
- 押しっぱなし問題&停電問題を解決するのが自己保持回路
- 安全のため、実機は復帰優先の自己保持回路が主流
