空調・自動制御
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空気式自動制御機器(後編)空気リレー・バルブポジショナー・空気供給装置のしくみ

空気式自動制御機器(後編)空気リレー・バルブポジショナー・空気供給装置のしくみ
denkorabbit
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📘 この記事でわかること

  • 空気リレー(6種類)の役割と使い分け
  • バルブポジショナーのしくみ
  • 空気供給装置(7ステップの処理)

空気式制御の仕上げは「リレー」と「空気源」。複数の信号を操る仕組みを見ていこう!

前編・中編では「空気式制御の概要」「アクチュエータ」「サーモスタット」「コントローラー」を解説しました

※まだ前編・中編を読んでいない方は、「前編」「中編」から読むとよりわかりやすいです

後編のテーマは「空気式リレー」「バルブポジショナー」「空気源装置」です

空気式リレー類 電気を使わずに「計算・選択・切換」ができる部品

空気式制御の面白いところは、電気回路を一切使わずに「信号の選択・切換・演算(計算)」ができる点です

それを担うのが各種「リレー(relay=中継器)」です

空気の圧力だけで、まるでコンピューターのような処理ができてしまう——これが空気式制御の驚くべき点です

リレーの種類何をするか使用例
高圧選択リレー2つの入力のうち、圧力が高い方を出力する2つのセンサーのうち最も暑い場所の温度で制御したいとき
低圧選択リレー2つの入力のうち、圧力が低い方を出力する2つのセンサーのうち最も寒い場所の温度で制御したいとき
切換リレー設定値と比較し、高い・低いで出力先を切り換える夏モード・冬モードの自動切換
逆転リレー入力信号を反転して出力する(高い圧力→低い圧力に変換)正動作を逆動作に変えたいとき
レシオリレー入力信号に一定の比率をかけて出力する外気補償制御のオーソリティー調整
平均リレー2つの入力の平均値を出力する2箇所の温度の平均値で制御するとき

「高圧選択リレー」を使えば、「2つの部屋のうち暑い方の部屋に合わせて冷房する」という制御が空気圧だけで実現できます

「平均リレー」なら、2箇所の温度の平均値で制御することができます

バルブポジショナー バルブの「位置確認係」

コントローラーが「バルブを50%開けろ」という信号を出しても、バルブが本当に50%開いているとは限りません

バルブには配管を流れる水や蒸気の圧力が常にかかっています

この圧力(差圧)が大きいと、バルブが信号通りに動かないことがあります

水流に逆らってバルブを50%の位置で止めようとしても、水の力に負けてしまうことがあるのです

そこで活躍するのが「バルブポジショナー(valve positioner)」です

ポジショナーとは「position(位置)する(確認・制御する)もの」という意味です

バルブポジショナーはコントローラーからの信号(目標の開度)と、バルブの実際の位置(開度)を常に比べます

ずれがあれば修正信号を出して、バルブを正しい位置に動かします

フィードバック制御(測る→比べる→修正する)を、バルブの開度に対してミニサイズで行っているイメージです

差圧が大きい配管や、ストロークが長いバルブを精密に動かしたい場面で大きな力を発揮します

空気源装置 空気式制御を支えるインフラ設備

空気式制御システム全体の「電源」にあたるのが空気源装置です

電気システムに電源(コンセント)が必要なように、空気式システムにはきれいな圧縮空気を安定供給する設備が欠かせません

特に重要なのが「乾燥・清浄」です

ノズル・フラッパーのような精密な部品に水分や油分が入ると、詰まりや錆の原因になります

空気源装置は、次の7ステップで空気をきれいにします

ステップ① 空気圧縮機(コンプレッサー)

大気(外の空気)をモーターで圧縮して高圧の空気を作ります

自転車のタイヤポンプの大型電動版だと思ってください

圧縮すると空気は高温になります(自転車のポンプが熱くなるのと同じ原理です)

ステップ② アフタークーラー

高温になった圧縮空気を水や空気で冷やします

冷やすと空気中の水蒸気が水に戻り(結露と同じ原理)、分離・排出しやすくなります

ステップ③ サイクロンセパレーター

空気を渦巻き状に回転させて、遠心力で水分や油分の粒子を管壁に叩きつけて分離します

洗濯機の脱水のように、回転の力で水分を分離させます

ステップ④ 空気槽(レシーバタンク)

圧縮空気を大きなタンクに蓄えます

コンプレッサーは常に動いているわけではなく、圧力が下がったときだけ動いてタンクに空気を補充します

このタンクがバッファー(緩衝材)の役割を果たし、圧力を安定させます

ステップ⑤ 除湿器(ドライヤー)

吸湿剤(シリカゲルなど)や冷却によって、残った水分をしっかり取り除きます

お菓子の袋に入っている乾燥剤(シリカゲル)が湿気を吸うのと同じ原理です

ステップ⑥ フィルター

除湿しきれなかった微細な水分・油分・ゴミをフィルターでこし取ります

エアコンのフィルターと同じ役割ですが、もっと精密なフィルターです

ステップ⑦ 減圧弁(げんあつべん)

タンク内の高圧空気を、制御に使いやすい適切な圧力まで下げます

水道の蛇口を調節して水圧を適切にするのと同じ考え方です

こうして7ステップで清浄・乾燥された空気が、制御システム全体に供給されます

まとめ(後編) 空気式制御の全体像

機器役割
アクチュエータ空気圧をバルブ・ダンパーの「動き」に変える
サーモスタット/ヒューミディスタット温度・湿度を感知して空気圧信号を出す
コントローラーセンサー信号と設定値を比較して操作信号を作る
リレー類信号の選択・切換・演算(電気を使わず空気圧だけで)
バルブポジショナーバルブ開度をコントローラー信号に正確に追従させる
空気源装置清浄・乾燥した圧縮空気を安定供給する

電子化が進んだ現代でも、大きな力が必要な場面や爆発の危険がある環境では空気式制御が現役です

電気式・電子式との組み合わせも可能なので、現場の条件に合わせて最適な方式が選ばれています

ここまでで空気式制御は完成! 次は電気式・電子式と、制御の進化の歴史をたどってみよう!


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