電気式自動制御の機器|スイッチ・リレー・モータ・回路パターン
📘 この記事でわかること
- 電気式制御の長所と、現代でも使われる理由
- スイッチ・リレー・モータ・電磁弁の役割
- 2線式・3線式フローティング・3線式位置比例の回路パターン
- リミット制御・外気補償・最小開度設定など応用回路

電子式・DDC全盛の今でも、現場には電気式が大量に生き残っています、改修・更新の判断にも知識が必要です
こんにちは、電ラビです
電気式自動制御は1960〜80年代の主流方式で、いまも改修現場でよく出会います
電子式・DDCに置き換える判断をする前に、電気式の中身を理解しておくと、既存設備のクセが読めるようになります
目次
電気式制御の6つの長所
- 電源さえあれば動く、空気源装置のような専用インフラ不要
- シンプル、機械式センサ+接点+モータの組み合わせで完結
- 遠隔操作が容易、信号線を伸ばすだけで離れた場所から制御できる
- 応用回路の自由度、リレーの組み合わせで多様なロジックが組める
- 工事が標準化、電気工事業者がそのまま施工できる
- 機器単価が安い、シンプルな構造ゆえコストが抑えやすい
反面、電子式のような高精度PID制御は不可、温度精度は±1℃程度が現実的な上限です
調節部、センサーの動きを電気信号に変える
電気式の調節部はスイッチとリレーで構成されます、機械的な動きを「ON/OFF」や「抵抗値」に変換するのが仕事です
スナップスイッチ、磁石仕掛けでパチッと切り替わる
センサーの動きが一定値を超えると、内部の磁石機構が働いて接点が一気に切り替わります
ゆっくり動く入力に対しても出力はパチッと変わるので、接点の溶着やチャタリング(スイッチやリレーがON・OFFを細かく何度も繰り返してしまう現象)を防げます
動作隙間(デッドバンド)を持たせて、目標値前後でON/OFFが頻発しないように設計するのが基本です
マイクロスイッチ、小型で高速
ゲームコントローラーのボタンと同じ構造で、わずかな押下力で動作します
応答が速く小型なので、リミット検知(バルブ全開・全閉位置)や安全インターロックでよく使われます
水銀スイッチ、傾きで電気をつなぐ
密封ガラス管に水銀を封入し、傾きで電極間が導通する原理です
古いサーモスタットでよく見ますが、現在は水銀規制で新規採用はほぼなく、改修時の置き換え対象になります
バランシングリレー、シーソー原理で電流バランスを見る
電気式比例制御の心臓部にあたる部品です
2つのコイルが反対向きに磁力を出し、その差でシーソー状の鉄片が傾きます
傾きの大きさに応じて接点位置が変わり、モータを比例的に動かす指令を出します
ポテンショメータ、ラジオの音量つまみと同じ
抵抗体の上を摺動子が動くことで、抵抗値が連続的に変わる部品です
バルブの現在開度をフィードバックする位置センサとして、3線式位置比例制御で活躍します
操作部、バルブやダンパを動かす機器
電動アクチュエータ、減速ギアでゆっくり動かす
モータの回転を減速ギアで落とし、バルブを「ゆっくり・正確に」動かす専用モータです
- 二位置形、全開・全閉のみ
- 比例形、入力信号に比例して途中位置で止まれる
- スプリングリターン形、停電時にバネで自動的に閉まる、フェールセーフ用
電磁弁(ソレノイドバルブ)、電磁石でパッと開閉
電磁石(ソレノイド)で鉄製プランジャ(磁石に引き寄せられる金属の棒)を引き上げ、流路を一気に開く構造です
応答が速い反面、二位置動作のみで途中開度は持てません、加湿用蒸気の供給弁、補給水弁などのON/OFF用途で使われます
電気式の基本回路4パターン
配線本数と制御方式で、電気式は4パターンに分類できます
2線式二位置制御
もっともシンプルで、サーモスタット接点が直接モータON/OFFを切り替えます
家庭用エアコンの古典的な動作と同じです、配線2本だけで成立します
3線式二位置制御
2線式と動作は同じですが、共通線を1本追加することで複数のサーモスタット信号を1台のモータに集約できます
3線式フローティング制御
「開」「閉」の2接点と共通線でモータを正逆動作させ、途中で停止できる方式です
エレベーターのボタンのように「開」を押せば開き続け、離せば止まる動作になります
位置フィードバックがないので、現在開度はわかりませんが、回路は簡単で安価です
3線式位置比例制御
バランシングリレー+ポテンショメータの組み合わせで、入力信号と現在開度を常時比較しながら動く方式です
GPSナビが現在位置を確認しながら経路修正するのと同じイメージで、目標開度にきっちり追従します
電気式の中でもっとも精度が出る方式で、空調コイル制御弁などに使われます
応用回路、賢く動かすための組み合わせ
リミット制御、やりすぎを防ぐ安全回路
給気温度などの上限・下限値を別系統のサーモで監視し、メイン制御が暴走しても上下限で必ず止まる構成です
例えば加熱コイル下流に上限サーモを入れ、設定温度を超えたら蒸気弁を強制閉鎖、火災や凍結事故を防ぎます
外気補償制御、外気温で目標値を自動修正
外気温センサの信号を受けて、給湯温度や給気温度の設定値を自動で動かす制御です
外気が低いほど給湯温度を高く、外気が高いほど低くするカーブを「補償カーブ」と呼びます
季節を通じて快適性と省エネを両立する、現在も主流の応用回路です
最小開度設定、コイル凍結防止
冷温水バルブが完全に閉まると、コイル内の水が滞留して凍結する恐れがあります
最低でも10%程度の開度を維持する応用回路を入れて、常時微流量が流れるようにします
実際の現場では30%くらいになることが多いです
空調機のメーカーに問い合わせて、最低流量に設定することもあります
冬期に外気を直接吸い込む熱交換器では特に重要な防止策です
毎年のように、コイルのパンクを聞きます
電気式と電子式の使い分け
| 判断軸 | 電気式が向く | 電子式が向く |
|---|---|---|
| 制御精度 | ±1℃程度で十分 | ±0.5℃以下が必要 |
| 制御点数 | 単独機器の制御 | ビル全体の総合制御 |
| BAS連携 | 限定的 | 標準対応 |
| 初期コスト | 低い | 高い |
| 応用ロジック | リレー組み合わせで対応 | プログラムで自由設計 |
まとめ
- 電気式は電源だけで動き、シンプル・遠隔・低コストが強み
- 調節部はスイッチ・バランシングリレー・ポテンショの組み合わせ
- 操作部はモジュトロールモータと電磁弁が定番
- 回路は2線式〜3線式位置比例の4パターン、位置比例が最高精度
- 応用回路で凍結防止・外気補償・上下限保護を実現

電気式は地味だけど現場で確実に効く方式、改修見積りや既存解読で必ず役に立ちます
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